東京都の少子化対策の問題点 ②

一方、0~2歳の第2子保育料無償化ですが、無償化といっても、あくまでも保育料のみで、延長保育料・日用品、文房具代、行事費等各施設で徴収する費用等は含まれておりません。そして対象施設は、認可保育園(公立・私立)、地域型保育事業所(家庭的保育事業所・小規模保育事業所A型・小規模保育事業所B型)、認定こども園(2号・3号)、事業所内保育事業所のみで、認可外保育園は含まれておりません。

また、認可外保育園といえば、今年差し迫っている問題があり、といってもこちらは都の話ではなく国になるのですが、政府は19年10月より、公立の幼稚園や保育所の3歳から5歳児クラスは月3万7千円、0歳児から2歳児クラスの住民税非課税世帯は月4万2千円までの利用料を免除とし、認可外保育施設においても、国が定めた人員配置や設備の安全基準を守れば月3万7千円まで免除していました。ところが中には基準を満たしていない施設(子ども家庭庁によると21年時点で約3,500カ所、全体の約25%)もあり、それに対し5年の猶予期間が設けられていたのですが、それが今年の24年9月までとなっているのです。それ以降は利用者が負担することになります。

このように、現金支給をしたとしても様々な問題があり、トラブルだらけのシステムで大変な思いをして申請しても年間6万円という額が果たして妥当なのか?現金をもらえるのはありがたいが、本当に出生率に繋がるのか?効果は限定的ではないのか?という声や、保育サービスや男性の育児休業推進の方が費用対効果は高いとする声、そもそも、出生率の維持・向上を目指す「少子化対策」なのか、または「子育て支援」なのか一旦整理した方がよい、というように、一般の声や専門家でも意見が分かれているようです。

ところが、国内で合計特殊出生率が一時「2.95」まで到達、直近でも「2.21」と高い水準で推移するという“奇跡の町”があります。それは岡山県にある奈義町です。

この町の取組みは、職員や議員の数を削減し、また公共事業の見直しや効率化などの徹底的なコストカットをすることにより、子育て予算の充実を推し進めてきたとのことです。

また、数年で終わるような支援ではなく、生まれた時の出産祝い金から高校生への就学支援まで、成長に応じて切れ間なき経済的支援を行うなど、単に金を出せばいいというだけでなく、子どもたちをどうやって育んでいくかを、町全体で真剣に考え取り組んだ結果が功を奏したように感じます。そこに都との大きな違いを見出せる気がしてなりません。(完)

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