「ワクチン有効率70%」と聞いたら、どのように解釈しますか?

 
「ワクチン有効率70%」と聞いたら、どのように解釈しますか?
「100人に接種したら70人に効く」という意味だと思っていませんか?
 
実は、この解釈は間違いです。
 
ワクチン有効率70%とは、接種しなかった人における発病率を「1」としたとき、接種した人の発病率が「0.3」(この比を「相対危険」と言います)になる、つまり差の「0.7」をパーセントで表した、ということです。
 
ワクチンを接種しなかった人の発病率と接種した人の発病率を比較することで算出する値である、ということにご留意いただければと思います。
 
接種していない人と接種していない人の発病率は20%と6%かもしれませんし、1%と0.3%かもしれません。前者だった場合と後者だった場合で、接種の意思決定が変わる方もいるかもしれませんが、どちらもワクチンの有効率としては70%になります。
 
では、具体例を見てみましょう。
 
ファイザー社の「コミナティ筋注」の最新の添付文書(医薬品の取扱説明書のダイジェスト版のような文書です)に記載されている臨床試験の16歳以上の参加者における結果によると、「SARS-CoV-2感染歴がない参加者での2回目接種後7日以降のSARS-CoV-2による感染症に対する本剤の有効性」の数字は以下の通りです。
 
本剤を接種した人のうち解析対象例数は18198、このうちSARS-CoV2による感染症確定例数は8。発病率(この場合は発病というより感染症確定率、というべきでしょうか)は8÷18198=0.044%(ここでは小数点以下3桁まで表示しています)。
 
プラセボを接種した人のうち解析対象例数は18325、このうちSARS-CoV2による感染症確定例数は162。発病率は162÷18325=0.884%(ここでは小数点以下3桁まで表示しています)。
 
このとき、プラセボを接種した人の発病率を「1」とすると、本剤を接種した人の発病率は0.044÷0.884=5.0%(ここでは小数点以下1桁まで表示しています)、なので、有効率はその差の95%、という計算になります。
 
ここでプラセボを接種した人における発病率を改めて見てみましょう。
 
0.884%という数値をみてどう思われるでしょうか。
 
言い換えると、プラセボでも99.116%は発病しないということになります。
 
この状況で、積極的に接種を受けたいと思いますか?
 
もしご興味をもっていただけたら、他のワクチンについても、添付文書等で臨床試験の結果を確認し、プラセボを接種した人での発症率も計算してみてください。
 
 
 
 
出典:ラジオNIKKEI 感染症TODAY2019年11月18日放送
「インフルエンザワクチンの有効性について」
大阪市立大学大学院 公衆衛生学福島若葉
 
 
 
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