対症療法と根本療法の違い

私は医師なので、「そもそも病気とは何か?」を考えることからはじめたいと思います。私が繰り返しお伝えしているのは、まず世間でいわれていることに対し「なぜ」「そもそも」に焦点を当てることです。

一般的な病気の定義とは、「生体がその形態や生理、精神機能に障害を起こし、苦痛や不快感を伴い、健康な日常生活を営めない状態。医療の対象。疾病。やまい」、あるいは「悪い癖や行状」ということになるようです。

一方、私が現在まで行っている医学では病名もなければ病気もありません。
病名をつけて「こういう病気ですよ」という認識を持つと、どうにかしてその病気を消そうという発想になります。でも、それでは根本的な解決にはなっていません。今の状態が改善して安定することやとりあえず今の苦しさがなくなることは、「その場をしのぐ」という対症療法ではあっても、「治癒」ではないのです。

対症療法とは目先だけ、カテゴライズだけ、楽になりたいだけ、依存したいだけ、という考え方ですが、無駄なわけではなく、緊急時や命の危険があるときにこそ効果を発揮します。

ちなみに対症療法の反対は根本療法という考え方になりますが、これは名前通り、問題の原因を根っこから解消する以外道はないという考え方です。

これは医学だけではなく、じつは政治問題や社会問題にも通じることではないでしょうか。目先の苦痛から逃れようとするだけ、何か不都合があったらまた別の方法を試せばいいだけ、という対症療法は、問題を根幹からよくすることにはならないと私は考えます。

もしも地球を治療しようとするならば、人間こそが地球のがん細胞であることを自覚し、がん細胞ではなくなるまで自浄しなくては、地球は復活しないのです。
 

選挙ドットコム(うつみ さとる)
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