「双翼思想」という政治思想 ①

この世の具体的な絶望はどこから来ているのでしょうか。社会のシステムを作っている大本、その基本は政治にあります。政治こそが今ある絶望を作っているともいえるのです。しかしこの国の政治に希望を見つけることなど、果たして可能なのでしょうか。

政治について大事なことが2つあります。一つ目は政治とはそもそもなんなのかという定義を、みな忘れていること。人類の歴史では、政治の種類は「王政政治」と「民主政治」の2つです。

民主政治の大前提は多数派で決めるということ。これは独裁者である王様が好き勝手にできる王政システムに対して、庶民が「ふざけるな」と拳を振り上げたところから始まりました。

独裁者への歯止めとして、みなで決めたほうがまだマシという考えです。

王様がマシだと少しはマシな世の中になります。しかし古今東西の歴史は、マシな王様などほとんどいないことを伝えています。少し暴君の傾向があるだけで、王政政治では考えられないほど人が死に、社会の破壊が起こります。

そのアンチテーゼから始まったのが民主政治です。民主政治は理想の政治ではなく、最悪を防ぐためにあるシステムに過ぎません。

それにもかかわらず多くの保守派や右翼系のネット民は、「日本は恵まれていて日本人はすばらしい民族だ。天皇はすばらしい王様で、日本を何度も救ってきた」などとお花畑満開なことをいっています。

そもそも天皇が介在した戦争があったことや、支配や奴隷システム、所有システムがだれのためにあったのかさえ忘れてしまったようなのです。

そのような人々が民主政治を理解できないのは当たり前かもしれません。まあアメリカ型民主主義の押し付けを嫌って、保守思想に走っている人も少なくないでしょうが…。

今の日本の民主政治では、最悪ですら排除できません。だとしたら今の民主政治が健全化されても、できることは最悪の排除くらいです。

現状ができることは、そもそも理想の国家を作ることではないと認識する必要があります。

今は民主政治の悪いところである衆愚政治と無関心政治が蔓延しています。民主主義の名を利用して、一部の特権階級が好き勝手やっていますが、国民一人ひとりの生存や最低限の自由を担保するためにこそ、民主主義は活用される必要があります。

それが形や数字となって現れたら、希望だという発想を持てるでしょうが、おそらく無理でしょう。

そしてもし、あなたが理想の国家を作りたいと願うのならば、政治家になる以前に、民主主義でも、王政主義でもない、新しい政治システムを模索するべきなのです。

政治について大事なことの二つ目は、現状の政治思想やシステムは、実は支配者が作ったものであり、枠組に過ぎないという視点で考えることです。

世界も日本も政治思想は、右翼か左翼か、保守か革新か、資本主義か共産主義かに分けられます。

アメリカが共和党と民主党の二大政党制を作ったのは、このわかりやすいシステム化です。そうやって、民衆を右や左の思想のなかに閉じ込めることによって、支配者が民衆をコントロールしやすくなります。(②に続く)

選挙ドットコム(うつみ さとる)
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